100種類の仮想通貨を持つFPの投資メモ

仮想通貨を100種類買ってみました。その顛末と、気づきをシェアできればと思います。

仮想通貨の怖さ(4)

仮想通貨の怖さシリーズその4です。

→初回から見る方はこちら

 

(4)相続の際、財産として取り出せない可能性がある

 

たとえば自分が死んだときに、相続人が仮想通貨を把握したり引き出せるか、は心配な点です。
みなさんも、相続人を親や子供、奥さんなど身近な人に置き換えて考えてみてください。

 

■そもそも仮想通貨を持っている事に気づいてもらえるか

 

普段から家族と「仮想通貨を〇〇円くらい持っています」とコミュニケーションしていれば、相続人が仮想通貨を持っていることに気づけるかもしれません。


しかしそういったことがないと、そもそも財産として仮想通貨を持っている事自体に気づかない。
極端な話、銀行には100万円しか入っていないが、実は仮想通貨は数千万持っていた、なんてこともあり得るわけです。

 

たとえば1人暮らしの息子さんが巨額の仮想通貨を運用したが、不運にして亡くなってしまった。そのとき親は、その息子が仮想通貨を持っている事すら気づかない。。。。
これはあり得ることですし、実際にきっとどこかで起きている事では無いでしょうか。

 

■どこに仮想通貨があるのか分からない

 

仮に遺族が「どうも亡くなったあの人は仮想通貨を持っているようだ」と知っているとしましょう。

でもその仮想通貨とは、どこにあるのでしょうか?
相談するにしても、どこに問い合わせれば良いのでしょうか?

 

たとえば株なら、証券会社から家に紙の報告書や目論見書が届いていて、「この書類を送ってきた大和証券に問い合わせてみよう」といった手がかりになるかもしれません。

でも、仮想通貨の取引所から紙の書類が届く事はあまり無いでしょう。

口座開設の時に届くかもしれませんが、以降紙でのコミュニケーションは考えづらいです。

 

そうすると、仮想通貨を持っているらしい事は分かっても、相続人はどこに問い合わせたらいいか分かりません。

税理士さんに相談しても、税理士さんも困るでしょう。

 

ある程度仮想通貨に詳しい人であれば、有名どころの仮想通貨取引所に問い合わせてみるという方法はあると思います。といっても、実際どこに問い合わせるのかと考えると大変です。Zaifなのか、Coincheckなのか、SBI VC TradeなのかDMM Bitcoinなのか。。。

手がかりが無ければ、このように手当たり次第で問い合わせることになります。

 

あとは本人のメールの履歴などが読める状態であれば、その範囲で把握することは可能かもしれません。ただ複数のメールアドレスや取引所を使い分けている人も多いと思いますので、本人が口座開設している全ての取引所を知ることは難しい場合も多いでしょう。

 

そして取引所ではなく、個人管理のウォレットに通貨を保管していた場合、それに気づくのはより難しいと思います。

 


■引き出せるのかが分からない

 

仮に、ある取引所に仮想通貨を預けている事が分かったとしましょう。

それが日本の取引所であれば、請求すれば引き出せるかもしれません。
本人確認が出来ていますので、遺族が請求すれば照会に応じてくれる可能性があります。


……しかしそれが海外の口座だったらどうなるのか。

たとえばBinanceに仮想通貨を持っていたとしましょう。
相続した方(とりあえず家族をイメージしてください)が、"Binanceに仮想通貨を持っている"ことに運良く(?)気づいたとします。

しかし気づいたとして、仮想通貨を引き出そうとしても、引き出し方がわからない。
ログインの仕方が分からない。IDとパスワードが分からない。

 

亡くなる前にログイン用のIDとパスワードを教えてもらっていたとしても、今度は二段階認証を突破できない。
仕方なくバイナンスに問い合わせたとしても、本人確認ができてないとしたら、"その人"の口座である証明も難しい。
ましてや遺族からの問い合わせに、海外の取引所がどのように応じてくれるのか……。

ということで、引き出しは大変ハードルが高いと思われます。


取引所では無く、個人管理のウォレットの場合はもっとハードルがあがるでしょう。
ある程度仮想通貨の事を知っている人が居て、そのウォレットにアクセス可能で、かつ暗号を解除する鍵が必要になってきます。

 

いずれにしても、遺族が仮想通貨を引き出す事はなかなか難しいことは想像しやすいと思います。


■ではどうするのか?

これに対する良い答えというのは、まだ分かっていません。

 

考えられるのは
・家族(特に相続人)と普段からコミュニケーションして、仮想通貨のありかを伝えておく
引き出すための方法を共有しておく。
 但し引き出し方を事前に共有することは、セキュリティリスクを孕む

なかなか難しいですね。。。。

 

ちゃんとやるとすれば、ハードウォレットに仮想通貨を入れておき、それを貸金庫で保管しておく。ただ貸金庫は相続人でも勝手には開けられないので、事前に遺言執行者を決めておく……というのがベストでしょうか。

よほどの額で無いと、ここまで準備する人は少ないでしょう。


ということで、まず仮想通貨で大きな資産を持つのは、値動きだけでなく相続面でもリスクもあることを理解する必要性があると思います。

一般の方は、余裕資金で投資することは大前提として、仮想通貨の保管は出来れば日本の取引所にしておいた方が、相続の観点では多少安全な気がします。

ある程度運用資金が大きい場合は、税理士を含めたプロに普段から相談しておき、具体的に対策を講じておく事を強くおすすめします。